続・高校時代にソフトボール部だった彼女がバスケットボールのコーチになるというアドバンテージ
コーチの役割をリストアップすれば、「競技経験があるかないか」がいかに関係しないかが見えてくる。コーチの役割を適切に理解していること、が遥かに重要である。
前回のお話
<Good Coach>
A:スカウティングから練習メニューの作成まで
1)相手チームに勝つイメージができるまでスカウティングする
2)選手の特徴を生かし明確な戦い方を選択する
3)より効果的な練習メニューをつくる
※スカウティングの目的は「相手チームのスタッツ分析」ではない。「勝つイメージを明確にもつ」ことだ。そのために、ネット上のグレートゲームを参考にすることをリコメンドしたい。
B:練習から試合まで
1)練習の中で、各選手に生じる壁や違和感を確認する
2)壁や違和感を取り払う練習メニューに変更・追加する
3)戦い方を選手からフィードバックをうけ、ブラッシュアップする
※選手から学び、よりよい戦い方の提案を促し、よいよい戦い方が見つかれば柔軟に方向転換する。
C:試合から試合終了後まで
1)成功に対しては「good job!」。失敗に対しては「good feedback!」
2)練習していないことを試合中に口にしたり、強制させたりしない
3)試合直後は選手の姿勢に対して健闘をたたえるのみ
→Aに戻る
<Bad Coach>
A:スカウティングから練習メニューの作成まで
1)なんとなく試合を観て主観的に判断する(もしくは観ない
2)根拠のない戦い方を選択する
3)根拠のない戦い方に基づき練習メニューをつくる
※勝ちのイメージができていない状態で、根拠のない戦い方を選択し、それを元に練習メニューをつくるので、効率が悪く勝敗に直結しないムダな練習になる。
B:練習から試合まで
1)選手のプレーのみにフォーカスし、うまくプレーできなければ叱咤する。
2)選手の反復不足に原因があると考え、ひたすら(ムダな)練習を反復させる。
3)「戦い方」という全体像は消え去り、(ムダな)練習メニューを極めることにフォーカスする。
※選手のプレーだけをみて、心を度外視し、コーチの努力不足でつくった傲慢さの塊のようなムダな練習を、ただただ選手に押し付ける。
C:試合から試合終了後まで
1)成功に対しては「当たり前」。失敗に対しては「なにやってるんだこの野郎!」
2)練習していないことを試合中に強制させる
3)試合直後は選手の悪いプレーにフォーカスし、おまえたちが悪いと洗脳する
→Aに戻る
※勝てないのは選手の質(運動能力やスキル)の問題であって、リクルートできるチームには勝てないなどと平気で口にする。
私は自身がGood Coachでありたいと切に願うが、ひとたび気を抜くとBad Coachが顔をだす。その度に肩を落とし、自分の未熟さにホトホト嫌になる。しかし、選手の人生を自身の未熟さで踏みつけながらも、Good Coachを目指し続けるのがコーチの道である。コーチ業はそれほど罪深いものであることを自覚したい。ゆえに、コーチこそ、選手やその親、応援してくれるすべての方々に感謝しながら、精進するべきである。